企業理念の作り方
前回は『企業理念=大勢の人を動かすエネルギー』という話をしました。そして『2人以上のステークホルダーがいれば企業理念は必要』という話もしました。
同時に、多くの会社が、
1:そもそも企業理念を作らない
2:作っても社長室の額に飾って終わる
3:作り方を間違えている
のどれかだともお伝えしました。
簡単に言えば、「会社経営をする以上は企業理念を作りましょう」という話です。しかし「いざ企業理念を作ろう」と思っても、
- 完璧主義に陥って企業理念オタクになってしまう
- 作り方がわからないので止まってしまう
のどちらかに陥ります。
まず企業理念の前の話になりますが、なんでも『完璧主義にならない』ことが大事です。今は過去に例のないくらいスピードが早い時代になりました。「完璧にしてからスタートしよう」なんて悠長なことを言っていたらヨボヨボのおじいちゃんになってしまいます。
そもそもこの世に『完璧』は存在しません。例えば、もし完璧な商品があったとしたら、世界中の人々が、同じ商品を使っている事になります。世界シェア100%です。例えば、世界中の老若男女がiPhoneを使っているとか。なんか気持ち悪いですし、そんな時代はきません。
様々な価値観の人間が住むこの地球において完璧なんてものは存在しません。ですので、「完璧を求める=不可能」を意味しています。
計画を練るなと言っているわけではありません。PDCAの章でもお話しましたが、絶対にプランは必要です。
アメリカで「リーンスタートアップ」という言葉が一時期流行しましたが、「スピードが早い時代だからプランなしでやってみて
問題が見つかったら改善しましょう」という、ビジネスのやり方ですが、本当にノープランで成功している会社なんて見たことがありません。
大切なことは、期限を決める事です。期限があれば「Planにかけて良い時間は、これくらいだな」というのが見えます。
企業理念の話に戻りますが「とりあえず」作ってしまう事です。
完璧な企業理念なんて、そう簡単にはできませんし『企業理念とは改善を繰り返すもの』です。「一度作って、はい終わり」というものではありません。
そして「企業理念は大勢の人を動かすもの」と言いましたが、実は『あなた自身を動かすエネルギー』です。モチベーションとも言えるかもしれません。
特に、ある程度収入が安定し始めると、燃え尽き症候群になる人が多いですが、それは理念がないからです。
「お金を儲けたい!」というゴールだけで動き続けるのは無理です。自分自身を動かすためにも大勢を魅了し動かすためにも、企業理念を「とりあえず」作る必要があります。
では、どうすれば理念が作れるのか?
まず大事なことは『あなたの魂の叫び声』でなければいけません。
あなたが描く未来を言葉にしたものが理念になります。その上で、会社として大勢の人を動かすためには、
- 成長や未来がイメージできる
- 社会に良い影響を与えるイメージができる
- ステークホルダー達が自分はどんな行動をすれば良いのかわかる
この3つが必要です。
使い古された引用文で申し訳ないですが、「儲ける」という言葉は「信じる」と「者」の組み合わせです。要は「信じた者が増える=儲かる」という意味で、実際にその通りだと思いますが、ステークホルダーが理念に共感して信じた時に、信じられないほどのパワーになります。
前のメールでもお話しましたが、理念の「ある」会社は、「ない」会社の3~4倍の利益を出しているというデータもあります。
企業理念を作るとわかると思いますが、
- 様々な価値観をもつ人々が一体化する。そのため会社が平和になり一丸となる。
- 社員やその家族の誇りになる。そのため社員の定着率やモチベーションがあがる
- 信頼、尊敬されるため取引や求人が楽になる
など、利益以外でもたくさんのベネフィットがあります。
私自身もまだ発展途上ですが、生きた企業理念を作るために意識していることをメモしておきます。
- なるべくチーム全員で理念を作り上げる
- 会議などでしっかりと使われている(例:会議でもめた時に「理念に照らし合わせると」と原理原則に立ち戻れるため決断が楽になる)
- 現在の仕事や行動はビジョンと一致しているか?
- シンプルで記憶しやすい
- 定期的に更新されている
- 世界に通用する理念であること
- 魅力的であり、社会性があること
...
そして企業理念で一番大事なことは『浸透させる事』です。作っても浸透していなければ意味がありません。
有名な起業家が言っていましたが「アルバイトに深夜に電話したとして、寝ぼけながら会社の企業理念を言えるか?」ここまで浸透して初めて企業理念は本物のパワーになるそうです。
私は、そこまでは出来ていませんが、なるべく意識してやっていることは、
- チームメンバーに常に携帯してもらう
- 定期的にメールやLINEで流して定着させる
- ミーティングのたびに理念を言う
は意識してやっています。
「1人社長でも作るのですか?」と言う質問がよくありますが「YES」です。家族や取引先などの関係者に影響するというのもありますが、それ以前に理念がないということは「自分がどこに進みたいのかわかってない」ので、そのような会社はダメになります。
企業理念は、ステークホルダー以上にあなた自身に一番影響を与えてくれます。無機質な会社やビジネスに魂をいれるようなものです。
ただし、何度も言いますが企業理念を作る時に完璧主義になってはいけません。とりあえず作って違うと思ったら変更してステージが変わったらまた変更して、それでいいのです。
「なぜ私はこのビジネスをスタートしたのか?」もう一度、原点に立ち戻ってみると企業理念の良いヒントが見つかると思います。