ライバルの分析方法
中小企業の社長はほぼ決算書を読みません。読めなくても特に困りませんし、私も最初は読めませんでした。ただ勉強して読めるようになってからは「読めた方が得だな」と思うようになりました。
メリットはたくさんあります。
1つ目は、株式トレードに強くなること。
どの会社が本当に実力があるのか?決算書(財務諸表)だけで全てはわかりませんが、ある程度は見えるようになります。
2つ目は、会社の異常がわかること。
1人社長の時はほぼ関係ないですが、社員を雇うと見えない部分が出てきます。例えば、社員が経費を使いすぎているとか密かに横領しているとか。経営者が全てを把握するのは難しいですが、数字に強くなると「あれ?ここの数字おかしいぞ?」と気づくことが出来るようになります。
人は嘘をつくことはありますが数字は嘘をつきません。
3つ目は、他者の利益構造が見えること。
例えば、日本一の企業であるトヨタは、車の販売で儲けているのではなく『金融』で儲けています。要は車の販売そのものよりもローンを組ませた時の金利で儲けています。
楽天などもショッピングの利益ではなく、楽天に登録した中小企業への貸付けのシステムで巧みに儲けています。
決算書などの数字を読めるようになると、こういった利益構造が見えるようになります。「どこで儲けているのか?」が見えるようになります。
ただ、決算書は複雑で日常では使用しない専門用語がたくさん並んでいます。
- BS(貸借対照表)
- PL(損益計算書)
この時点で意味不明な人も多いと思います。私も最初は全く解りませんでした。無理して覚える必要はありませんが、全体像だけ覚えておくと得するので簡単にお話します。
BS(貸借対照表)とは...
「お金は右から左へ消える」と覚えておくと良いです。
例えば、BSには
預金100万円 / 資本金100万円
などと書いてあります。
「お金は右から左へ変身する」
の概念に照らし合わせると
右の資本金100万円は、左の預金100万円になったことを意味しています。
もう少し言うと
右:誰のものか?
左:何に使ったか?
という事です。
では、以下だとお金は、どんな風に動いたかわかりますか?
預金50万円 / 借入金100万円
商品50万円
右は借入金なので、銀行や他人のモノとわかります。その借りたお金をどう使ったのかが左に現れます。
上記の例では、商品(在庫)に変身してますよね?
こうやってわかる言葉に置き換えるとBS(貸借対照表)も少しは可愛く見えると思います。
BS(貸借対照表)を読み解けるかは、また先の話でも良い人もいますが『わかる言葉に分解』するスキルは磨いた方が良いです。
例えば、「マーケティングとは何でしょうか?」よく聞く単語だと思いますが、他人に説明できますでしょうか?
大事なことは「正しく実行できるかどうか?」です。「知っている」と「出来ている」は別物です。言葉を理解して、実行に移せなければ勉強するだけ時間の無駄です。わからない言葉が出てきたら、理解して、実行できるレベルになるまで落とし込まないといけません。
例えば、「マーケティングとは集客でしょ?」と誤解している人も多いのですが、私自身は「マーケティング=売れるビジネスを構築する事」と解釈して、理解しています。
もう少し噛み砕いて言うと「マーケティング=集客」と考えている人は、「作ったものを売るためにお客を集める」と間違った行動をとります。
しかし本物のマーケティングとは「作ったものを売る」のではなく「売れるものを作る」ことです。
上記、よく理解してくださいね。大抵の儲からない社長は
- 商品を作った!
- でも売れない!
- やばい!
- 集客しないと!
でも売れない...という最悪の状態に陥っているからです。「売れる商品を開発して売れる仕組みを作ること」これがマーケティングです。
リサーチに始まり、自社のリソース(強みなど)の分析をして、極論を言えば「宣伝しなくても売れる商品を作る」ことがマーケティングなのです。
本物のマーケティングとは、
- 集客不要
- 営業不要
の商品(情報やサービスも含む)を作ることだと私は思っています。
用語の誤解がおこるのは、たいていのビジネス用語が英語だからです。多くはアメリカから入ってきています。だから私たち日本人は混乱します。
なぜアメリカなのか。。。今までの日本は内需だけで商売できていました。国や大企業の下請けで商売ができたのでビジネスを真剣に考える必要はありませんでした。
しかし、アメリカは「自由経済」がどこよりも早くスタートしたので、中小零細企業であってもマーケティング、コピーライティング、営業などを学んで、発展させなければ生き残れなかったからです。
ですので、やはりビジネスは特にアメリカが進んでいます。
「マーケティング」という使い慣れた言葉1つとっても誤解していた人も多いと思います。「解らないことは、わかる言葉に分解して実行できるレベルに落とし込む」これが重要です。意外と、普段使っている言葉も間違っていたり、理解してないものが多いと思います。特に英語に注意です。
今日はせっかくBSやPLという単語が出てきたのでもう少し数字の話がでます。
知っている人は「バカみたいだ」と思うかもしれませんが、知らない人も多いと思います。ビジネスで人の上に立つ限りは
最低でも知っておかなければならない単語について深掘りしていきます。
『利益』
についてです。
利益という言葉はよく使われますが、利益にも種類があります。
- 売り上げ
- 利益
- 粗利
という、よく使われる単語1つとっても間違えている人が多くいます。
まず、これはわかりますよね?
売上高=これは単純に売り上げです。
この売り上げから仕入れ高を抜いたものが「売上総利益」と言われます。俗に言う、粗利です。
売上高
△仕入高
ーーーーーーーーー
売上総利益(粗利)
100円のパンを売って、原価が50円であれば、売上総利益(粗利)は50円という事になります。
ここまでは誰でも知っています。しかし経営者となるからには、もう少し深く入り込まないといけません。この売上総利益(粗利)から
「販売管理費及び一般管理」
を引いいたものが「営業利益」と言われます。
販売管理費および一般管理とは「販管費(はんかんひ)」と呼ばれることが多いのですが、
- 給料、社会保険料などの人件費
- オフィスや倉庫の賃貸料
- 接待交際費
- 消耗品
- 通信費
- 水道光熱費
- 広告費
- 交通費
などになるのですが、販管費=「商品を売るために必要な経費」と考えて下さい。
売上総利益
△販管費
ーーーーーーーーー
営業利益
です。
つまり『営業利益』とは「会社の中心となる本業で稼いだ利益」になります。『営業利益=会社の実力』と覚えておいても良いと思います。
中小企業だと、これくらい覚えておけば十分なのですが、次に
「経常利益(けいじょうりえき)」
という言葉があります。簡単に言えば、「本業以外で稼いだ利益」です。経常利益には「営業外収益」と「営業外費用」の2つの項目があります。
例えば、営業外収益とは、株を持っていて売買益が出た、などです。受取利息、受取配当金、雑収入、これらも含まれます。
営業外費用は、借入金の利息や私たちはまず使いませんが手形の割引などです。支払利息、雑費用、社債利息などが営業外費用になります。
そして、これらを引いたものが『経常利益』と言います。経常利益は「けいつね」と略す社長が多いです。
営業利益
+営業外収益
△営業外収益
--------------------
経常利益
となります。
ややこしいので繰り返しのまとめになりますが、
営業利益=本業で稼いだ利益
経常利益=本業以外の収支を加えた利益
になります。
多くの経営者は、よくこの2つの利益を間違って使っています。基本はここまで覚えておくと良いです。
ここから先は飛ばしても良いですが、もう1つ奥に踏み込むと、
- 特別利益
- 特別損失
- 税引き前当期純利益
という3つの単語が出てきます。中小企業の場合は、ここはあまり関係ないですが
- 特別利益=固定資産の売却益や、有価証券売却益
- 特別損失=固定資産倍加損、有価証券売価損、火災での損失
などが入り、
「経常利益」=本業以外の収支を加えた利益
から、
特別利益と特別損益を計算して「税引き前当期純利益」を出します。文字通り、税金を払う「前」の稼いだすべての利益になります。
最後に、この「税引き前当期純利益」から法人税などを引くと「当期純利益」になります。
色々なステージの人がこのメルマガを読んでいるのですが、まずは「全力で営業利益を出すことにフォーカスする」のがベストだと思います。
売上高
△仕入高
-----------------------
売上総利益(粗利)
△販管費
-----------------------
営業利益
です。
少しややこしい話だったかもしれませんが、まぁ覚えておくと格好良いので覚えておいてください。
ここまで数字に強くなることや利益についてお伝えしてきましたが、今日の最も大事な教訓は、BSでもPLでも営業利益でもありません。
『解らないことを分解する』ことです。
単語自体もそうですが、儲かっている会社を見たときに「なぜあの会社は儲かっているのか?」を分析したり、行列のできているお店を見つけたら「なぜ行列ができるのか?」をわかるまで、そして自分が実行できるようになるまで分解することです。
物事の本質が理解できるようになるので、人生レベルでかなり役にたちます。