数値化・視覚化できない「敵」の正体

テレビゲームは好きですか?私は大好きです。凝り性な私はとことんやり込んでしまうので、ゲームのために何日徹夜しても苦になりません。

あなたは、ドラクエ、ファイナルファンタジーなどのRPG(ロールプレイング)をやった事がありますか?やった事がない人はイメージが湧きづらいかもしれませんが、RPGにはステータスという概念があります。

  • HP(体力)があるか?
  • MP(魔法を使える回数)はどれくらいか?
  • 体が毒に侵されているか?

さらには、チームメンバーの状態まで数字で全て表示されているのです。今、自分がどんな状態なのか『視覚化』されているのです。

これ、現実社会ならすごい事ですよね?自分の体力が今どれくらいで、あとどれくらい頑張れて、チームメンバーはどんな状態なのか?全てわかるのです。

しかも、ちょっと検索すると「次はこの場所に行ってください」みたいな感じで「ゴール」まで明確にされているのです。もし現実社会でも同じように数字やゴールが視覚化されていたら、すごくスムーズに人生が進みますよね。まぁ、実際は全部数字が見えたらつまらない人生に感じるとは思いますが。。

でも、少しは取り入れなければいけないと思います。会社でゴールを作ったり、決算書を見ながら状態を確認したり、やはり出来る経営者というか特に複数のチームメンバーを上手に率いている人は数字に強いです。

ただし問題は、ゲームなどである毒、麻痺、混乱などの『異常ステータス』は、どんな経営者であってもなかなか数値化、視覚化できない事です。

例えば、よくあるパターンですが「私の商品は最高なんです!でも...1つも売れないんです。売り方を教えてください!」という人がいるのですが、これは完全なる混乱状態です。

あなたが最高に思っているかどうかはお客様には関係ありません。お金を払ってくださるのはお客様です。「お金を払っていますぐ欲しい」という人たちが多ければ多いほど売り上げはでます。

売れないということは認知率が足りない場合もありますが、大抵の場合は「多くの人にとって不必要」な商品ということです。それなのに「俺の商品最高!」と思い、それに固執している人があまりにも多すぎます。

※認知率はとても重要な概念ですので、また今度詳しくお話します。

本物の顧客志向になればすぐにわかることですので、こういう混乱状態になっている人には何を言っても通じません。恐ろしいのは、自分が混乱状態に陥っているという事実に気がつけないことです。

ゲームでいうところの体力は、資金や利益という形で目に見えます。しかし、毒、混乱、麻痺などの異常ステータスは、優れた経営者であってもなかなか発見する事ができません。会社が密かに毒に侵されていても、自分が混乱状態になっていても気づく事ができないのです。

以前、友人がグループ会社の1つを任せていた社長が、2000万円近くを横領していた事がありました。税務署の調査で発覚して会社全体がパニックになりました。

本人に話をよく聞いて見たら母親が病気でお金がかかるので密かにお金を横領し始めたそうです。最初は「ちょっとだけ」という感覚だったらしいです。自分の食べ物を会社の経費で買ったり、そういう小さな所からスタートしたそうです。

しかし、それが段々とエスカレートしてきました。歯止めが効かなくなり、取引先と交渉したりして最終的には2000万円近くになっていました。本人ももう何が正しいとか、よくわからなかったそうです。ドラクエでいう所の毒と混乱と麻痺に同時にかかっているような状態でした。

そして、友人自身も麻痺していました。「任せておいたら大丈夫」と勝手に思っていたようです。そして、結局は友人自身が悪い見本になっていたことに気づきます。

当時、友人は自分の普段の食事など会社の経費で払う事が多かったです。高級車も、会社の経費で買っていますし、私物も経費で買う事が多かったです。「自分で稼いだ、自分の会社なんだから、いいでしょ?」という感覚だったようです。こういう態度は、周りの人はよく見ています。そして伝染します。

しかしよく考えたら「1人で稼ぐ」なんて事は不可能です。チームメンバーがいて、お客様がいて、家族がいて色んな人に支えられてやっと初めて1円を稼ぐことができます。

そして今の自分があるのは、過去に苦しかった時に支えてくれた人たちがいたからです。1人では1円すら稼ぐことはできません。こういう当たり前すぎる事実を忘れ、友人自身も麻痺状態に陥っていました。

立場的に上になってたり、業績が上向きの時は、こういう事を注意してくれる人も少なくなってきます。(私の周りにはズバリと言ってくれる友人やチームメンバーいるので本当に感謝しています)

2000万円の横領そのものに目を向けるのではなく「なぜそれが起こったのか?」という裏側にある原因に目を向ける事で、やっと色々な事に気づくことができましたと、友人はしみじみ言っています。

これは本当に大事なことです。「問題そのものに目を向けるのではなく、問題が起こった背景や仕組みにフォーカスする」このマインドセットは大事すぎるほど大事です。

私自身もまだまだ未熟ですので、すぐに麻痺、混乱、毒に陥ります。そして周りからアドバイスを受け一時期は回復するのですが、またすぐ異常状態に陥ります。まぁ私たちはロボットではなく人間なので仕方がないのですが。

ただ、覚えて欲しい事は「問題そのものに目を向けるのではなく、問題が起こった背景や仕組みにフォーカスする」このマインドセットと「私たちは毒、麻痺、混乱などの異常ステータスには気づきにくい」という事実です。

特に『家族』には注意しないといけません。よく「成功するとダークサイドに落ちる」などと言います。成功し始めると悪い事や嫌なことが起こる、例えば、

  • 自分や大切な人が病気になる
  • 家族が事故に遭う
  • 大きなトラブルが起こる

など、なぜか成功すると、こういう不思議なトラブルが続出するという話です。しかし、個人的には「ダークサイドなんて存在しない」と思っています。

簡単に言えば、調子にのってしまって今まで見えていたものが見えなくなったりしているだけで、ゲーム風に言えば混乱・麻痺状態になっているだけだと思います。

家族は本当に大事で家族が足を引っ張るようになるとビジネスで最大のパフォーマンスを出すことができません。家族が病気になったり足を引っ張るというのは、すごく有り難い信号です。大惨事になる前にわざわざ病気や愚痴などで知らせてくれているのです。惨事になる前に、それに気づかないといけません。

少し長くなったので、家族とダークサイドについてはかなり大事なので次回お話します。

おすすめの記事