付加価値③スペシャリティ(個別化)

ライバルに差をつける付加価値の3つめは『スペシャリティ(個別化)』です。

今は「多様化の時代」と言われています。確かに20年前、30年前と比べたらファッション1つ取っても多様化は、どんどん進んでいると思います。私が子供の頃は、何かが流行ればみんな同じ服装をしていました。しかし今ではファッション1つとっても、

  • ミセス系
  • キャリア系
  • お嬢さん系
  • きれい系
  • ベーシック系
  • フェミン系

…まだまだ種類があります。もはや違いがわからないレベルで多様化が進んでいます。

ちなみに...iPhoneは日本では強く、約70%ものシェアを取っています。これはかなり凄いというか異常なことです。しかし、世界トータルで見ると、Androidが80%でiOSは12%で、基本的には日本以外の国では、Androidの方がシェアが大きいのです。このご時世に70%ものシェアを獲得している日本のiPhoneを「ちょっと異常」と思うように、今は『独占』が難しい時代に入っています。

しかし逆に、この傾向は私たち中小企業にとってはチャンスとも言えます。

多様化とは「細かいニーズがたくさんある」とも言い換えられます。しかし、大企業は細かいニーズには答えきれません。

なぜか?

採算が合わないからです。ある一定のシェアがない限りは彼らはうごきません。コストを考えると小さなシェアを取りにいけないのです。

また大企業はスピードが遅いです。稟議書やら会議やらで私達のように「思いつきでGO」なんてできません。

また大手は、急にコンセプトを変えることができません。例えば、行きつけの美容師さんに聞いたのですが、ここ数年は『ノンシリコンシャンプー』というのが流行しているそうです。「シリコンが入っていないシャンプー」らしいのですが(よくわかりませんが。。)これは大手ではなく、街の小さな美容院が流行らせたものです。今後どうなるかわかりませんが、小さな美容院が作ったシャンプーが全国的に流行しているそうです。

もしあなたがシャンプーメーカーの大手ならどうしますか?流行を放っておくわけにはいきません。街の小さな美容院レベルのマーケティング力と資金力ならあっという間に叩き潰せます。

しかし...実際は大手がどうしたかと言えば「沈黙」です。

  • 花王
  • 資生堂
  • P&G
  • ライオン

などの大手は沈黙を守っています。

なぜか?

それは今まで大々的にシリコンが『入った』シャンプーを売り続けて来たからです。今更、「すみません、間違えていました。シリコンは髪にダメージを与えます。これからは”ノン”シリコンです!」などとは、口が裂けても言えません。確実に集団訴訟の裁判沙汰です。

ノンシリコンシャンプーは、小さな美容室が開発・販売をしたので、資金力もマーケティング力もなく、そこまで認知が上がりません。ですので、大手は沈黙を守っているのです。

このように大手や中堅どころには、たくさんの弱点があります。

しかし彼らのスピードの遅さとは裏腹に現代は多様化に突入しています。そして私たち中小・零細企業は、大手ができない小さなニーズやニッチをつくことで密かに儲けることができます。

ニーズが多様化していると同時に、生活習慣も多様化しています。そこにはスペシャリティ(個別化)という付加価値が必要になります。

わかりやすい例で言えば、クロネコヤマトの宅急便。

ヤマト便には『時間帯指定』があります。これはスペシャリティ(個別化)の代表例です。今は一昔と違い、働く時間も人それぞれなので、荷物を受け取れる時間帯も人それぞれになりました。

現時点でヤマトは、

  • 午前中(8~12時)
  • 12時~14時
  • 14時~16時
  • 16時~18時
  • 18時~20時
  • 19時~21時
  • 20時~21時

と、かなり細かく時間指定ができるようになっています。「やりすぎ」とは思うのですが、大手ですらスペシャリティという付加価値をつけています。

他にも、コンビニの24時間。日本では1975年に福島県の虎丸店が初めて24時間営業をスタートさせました。これもライフスタイルの多様化に対応したスペシャリティ(個別化)の代表例です。

今では当たり前になった、

  • パソコン修理夜間対応

などもそうですし、

  • マッサージ店の足つぼだけ10分

なども立派なスペシャリティです。

色々な市場で増えている、

  • 出張

も、その1つですね。

大手は採算がとれなかったり、小さいシェアだとやらないので、私達がニッチトップにたてる最も簡単な付加価値とも言えます。

スペシャリティをつけるためには、顧客のセグメントが必要になります。あなたの顧客を、

  • 時間
  • 年齢
  • 業種
  • 悩み
  • ニーズ
  • 性別

などで一度セグメントしてみて下さい。

お金をかけないちょっとした工夫で今やっているビジネスを大変身させる事ができます。

次回は、付加価値パート4『コンシェルジュ』についてお話します。

80対20の法則で有名ですが、

80%の売上は20%のS級顧客で成り立っている

と言われていますが、その20%のS級顧客を囲い込める付加価値です。

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