付加価値⑤コンシェルジュ
マクドナルドの立地の本を読みました。グーグルの未来構想の本を読みました。Amazonのシステム経営の本を読みました。
まぁ、全く役に立ちません!
いえ、断片的には参考になることも多かったのですが、トータルで見た時に時間のムダでした。もちろん、彼らの本が悪いわけではありません。『今の私ごとき』には早すぎたのです。
よく、「好きな経営者は?」と聞くと、今をトキメク
- ザッカーバーグさん
- バフェットさん
または過去の偉人である
- ジョブズさん
- 松下幸之助さん
などの名前が挙がります。
そして、私たちは彼らの本を好んで読みます。しかし、彼らが書いた本などは『大企業になってから』の話ばかりです。
- 貧乏だったころ
- 立ち上げたばかりのころ
こういうスタートアップ時期を詳しくは教えてくれません。要は『成功後』の話ばかりで大企業の戦略ばかりなのです。
こういうビッグな話は今の私たちにはほとんど役に立ちません。中小・零細企業には中小・零細企業の勝ち方やノウハウが必要です。大企業の真似をしたらまずコケます。
『中小・零細企業の勝ち方』にはいくつかパターンがありますが、その顕著な例に大企業がやりたがらない、
- 小さい市場でトップ狙う
- 面倒なことをやる
- 世間体が悪いが必要性の高いことをやる
などがあります。
前にもお話しましたが、フェラリーは1台500万円の利益ですが車市場で言えば超ニッチです。年間7000台しか作らない、そんなやり方はトヨタやGMはやりたがりませんし、もはや巨大になりすぎて出来ないというのもあります。
フェラーリは大企業がやれない、やりたがらない事をやっているので小さいニッチ、つまり「超富裕層向けのスポーツカー」という市場でトップなのです。
『中小・零細企業の勝ち方』は、色々と種類がありますのでまた今度お話していきますが、今日は付加価値5のコンシェルジュについてお話します。
付加価値コンシェルジュは、ひとこと言えば「大企業がやりたがらない面倒なことをやる」につきます。わかりやすく言えば、「お客様の奴隷になる」、キレイに言えば「お客様の秘書になる」という事です。
前回のステータスでもお話しましたが、顧客をセグメントすると「私は普通の人と同じはイヤ」という層が出てきます。また「細かいことは苦手」「面倒なことは嫌い」という層も出てきます。
こういう層は、人間的に面倒な人が多いです。しかし...金払いは良い客層でもあります。「お金を払うから面倒な事はやってくれ」という感じです。ですので、「お金をガッツリ頂いて面倒な事や細かいことをやってあげましょう!」というのがコンシェルジュです。中小企業が目指すべきスタイルです。
もちろん、大手もやっています。例えば、クレジットカードのアメックスは、付加価値コンシェルジュの代表例です。アメックスのセンチュリオン(ブラックカード)は専属の秘書がつきます。プラチナ色でも秘書的な事はやてくれるのですが、カードが黒色になると『専属』になります。
その秘書は何をやってくれるのか?と言えば、けっこう何でもやってくます。
あなた:「今すぐハワイでホテル予約して」
秘書:「はい、かしこまりました」
あなた:「今から沖縄行きの飛行機とって」
秘書:「はい、かしこまりました」
あなた:「彼女とデートだからコンサートのチケットを2枚とっておいて」
秘書:「はい、かしこまりました」
という感じです。
アメックスを使う大抵のサービスは、面倒なことは代わりにやってくれます。しかも、けっこう無茶がききます。
というのも、ホテルや飛行機をとり忘れて1時間前とかにアメックに頼んだら、がんばって探して手配してくれたことが何回かあります。普通にホテルや航空会社に電話するよりも、アメックスを通したほうがスムーズに進むことがよくあります。アメックスパワーは偉大です。ホテルや航空会社も「ははぁ~」と頭を下げます。
コンシェルジュとは簡単に言えば、こういう秘書のようなサービスです。
現時点でアメックスプラチナの年会費は13万+税ですが、飛行機やホテルの手配をする秘書や事務員を雇うと考えたらもしかしたら安いかもしれません。
これまでコンシェルジュの付加価値は、こういったお金持ち層が中心でした。金持ちのための秘書だったのですが、これからは少し変わってきます。これからの日本を含む先進国は、ご存知の通り高齢化が激しくなります。今のシニア層は元気ですが、そうはいっても細かいことができなかい人は多いです。
例えばパソコンやスマホの小さい文字が読めなかったり、コンピューターやネットの事がわからなかったりします。こういうシニア層もコンシェルジュを求めています。
コンシェルジュの言い方を変えると、
- サポート
- 代行
- 秘書
- お手伝い
などのキーワードになりますが、あなたの会社の商品やサービスに当てはめてみて下さい。
「あなたの商品やサービス、または購入フローの中にお手伝いは必要なものはないか?」
もしくは、
「細かいお手伝いが抜けているせいで取りこぼしているお客様はいないか?」
と質問してみてください。
これは大量にあります。私はネットで色々な商品を販売しますが、「ネット申込みができないので電話でもいいですか?」とよく問い合わせが来ます。
経験上ですが、
1通のクレームや要望がメールで来る=その裏に約30倍の人が隠れている
と思っています。
クレームや要望を言ってくる人は稀です。普通は諦めます。クレームや要望は勇気や行動力が必要です。ですので、
「なんだ、たった1通のクレームだから無視しておけば良いや」
と、放っておくとその裏に潜む約30倍の人が『黙って去っています』これは本当に重要です。私たちはクレーマーを嫌います。クレーマは感情的になっているので言葉遣いも悪いです。無視したくなる気持ちはわかります。
しかし、ビジネスにおいて「最も怖いお客様はクレーマーではなく黙って去っていくお客様」です。言葉遣いや態度はともかく、クレーマーは「ここが悪いよ」と問題を指摘してくれています。
PDCAの『C(チェック)』を無料でやってくれているのです。これは本当にありがたい事です。
何度も言いますが、「最も怖いお客様はクレーマーではなく黙って去っていくお客様」なのです。
「ネット申込みができないので電話でもいいですか?」こういう問い合わせが来た時は、ライフスタイルやサポート体制にもよりますが、積極的に取り入れた方が良いと思います。
もちろん、付加価値をつけるということは、それだけ価格をあげたり、もしくは別料金を頂いても良いです。特にライバルができていないけどお客様が求めていることであれば、価格をあげてもお客様はついてきます。
付加価値コンシェルジュは、これから高齢化が進む日本にとってかなりパワフルな武器になると思います。
もちろん、アメックスのように富裕層をゲットする事もできます。高所得層を狙いたければ一瞬面倒に感じますが、それだけ高単価をとれますのでやる価値はあります。
2対8の法則は有名ですが、8割の利益は2割のS級顧客が出してくれています。そのS級2割に集中する付加価値がコンシェルジュとも言えます。
あなたの商品、サービス、購入フローには、
- サポート
- 代行
- 秘書
- お手伝い
などが必要な部分はありませんか?
読み流すのではなく、ほんの3分で良いのでエクササイズしてみて下さい。少しの気づきと莫大な利益が手に入ると思います。