ゴール(目的)設定の方法
今回は「ゴールの設定の方法」についてお話しします。
「あなたの今年のゴールは何ですか?」と聞かれて、パッと答えられますか?
「はい、私の今年のゴールは会社の年商を...」などと、答えられた最高です。あとはそのゴールを達成するために戦略(リソースの配分)を行えば良いだけです。
ただ、問題は...「あなたの設定したゴールは正しいのか?」という部分です。
ビジネスの世界にはゴール設定の方法として『SMARTの法則』という言葉があります。
- S(ストレッチ)ー現在のプラス20%くらいのストレッチ(無理がきく)で達成できる目標
- M(メジャー)ー測定可能であること
- A(アクセプト)ーチーム全員が納得できる目標であること
- R(リソース)ーリソースとのマッチ
- T(タイム)ー時限設定とデッドライン
の略です。確かに「ふむふむ、なるほど」と思う所があります。
ただ個人的に気に入らないのは、一番上の「プラス20%のストレッチ」の部分です。大企業や中堅企業であれば確かにプラス20%くらいが妥当かもしれません。しかし、一人社長やベンチャー起業家がこんな小さなゴール設定をしていたらいけません。
もっとダイナミックに、
- 3倍
- 5倍
- 10倍
くらいにした方が良いです。
私たちの脳ミソは賢いので「売り上げを3倍」と言われると、それ相応のアイデアややる気を出してくれますし「売り上げをプラス20%」と言われると、それなりのアイデアしか出してくれません。
私たちは大企業ではありませんので、高すぎるゴール設定をしてちょうど良いと思います。もっと欲張って良いと思います。高すぎるゴールを設定した時に、私たちは初めて眠らせているリソースに気づくことができます。そして限界突破できます。既存や業界の常識に縛られない逆転の発想ができたり、イノベーションを起こせます。
根性論になりますが、高すぎるゴールを設定したら、日本電産の永守さんの言うように「すぐやる、必ずやる、できるまでやる」だけです。こういう人だけが、ビジネスの世界では「勝者」と言われます。
ただし...注意点があります。「高すぎる目標をチームメンバーに強要しない」という事です。私たち経営者や株主は、やった分が自分たちの利益になります。やりがいがあります。人生をかける理由があります。
しかし、チームメンバーにとっては、利益に直結しないことがほとんどです。私達と同じやる気や労力を強要するのは間違っていると思います。
よく「給料を払ってるんだから死ぬほど働け」と「残業が当たり前」と考えている経営者がいますが、どうかしています。なんども言いますがお金『ごとき』で大切な時間やエネルギーを提供してもらっているのです。
ですので、経営者は給料『以上』の恩恵を与えないといけません。それは安定感であったり、チャレンジであったり、居場所であったり、何よりも、最大のご褒美である『成長』をプレゼントしないといけないと思っています。そして成長をプレゼントするために必要なのがゴールになります。
あなたはチームに指示を出すとき、どの程度のストレッチをきかせたゴール設定をしていますか?相手のポテンシャルによって、さじ加減は変わると思いますが、感覚的ですがプラス20%くらいが最も良い結果が出ると感じています。
ただし一番のポイントは、
- 相手が納得できるゴールか?
- 無理やり押し付けたゴールか?
と、ゴールの『種類』が重要です。
私も下積み時代に人の下についていましたが、指示(命令)が出た瞬間、「それは流石に無理でしょ?」という、
- 1:「無謀ゴール」の場合
- 2:「強制ゴール」の場合(脅迫に近い形で命令される)
- 3:「納得ゴール」の場合(心から納得できる)
3つのゴールがありました。どれが一番結果が出るかと言えば、当然、3番目の「納得ゴール」です。2番目の強制ゴールも、それなりにパワーがありましたがが、ポテンシャル(潜在能力)を発揮できるという状態にはなりませんでした。
思い出してみてください。
あなたが社員さんや外注さんを含めたチームメンバーに指示を出すとき、どんなゴール設定をしていますか?
- 無謀ゴールでしょうか?
- 強制ゴールでしょうか?
- 納得ゴールでしょうか?
3つを簡単に説明しますが、
1:無謀ゴール
これは本人や会社のリソース不足なので、もはやゴールというよりは社長のエゴと願望です。やる気が出ないだけならまだしも、まず達成が不可能です。
会社や相手のリソースを分析しきれていないのに、心だけは楽観的な経営者によくみられるゴール設定です。
2:強制ゴール
トップや上司、またはメンターなどから「押し付けられた」と感じる目標です。
強いパワーを持つ人からの指示なら短期的には結果が出る時がありますが、長くは続きません。やはり心から納得できないとポテンシャルは発揮できませんし、奇跡的な結果が出ることはありません。
3:納得ゴール
これはまずゴール設定の会議の段階から始まっています。トップダウンではなくチームメンバーを巻き込んでゴールを設定する必要があります。そして関係者全員が「なぜそのゴールなのか?」と理由を理解していていて、かつ愛着を持てるゴールにしないといけません。
そのためには相手や会社のリソースを把握するだけでなく、関係者全員のベネフィットや理想を知っておかなければいけません。
一人で経営している場合は、ゴール設定は多少無茶するくらいがちょうど良いと思います。業界や市場の相場や平均を無視してダイナミックにやった方が良いです。しかし、チームメンバーに対して、あなたと同じようなダイナミックなゴール設定をするのは無理があります。
自分のゴールはダイナミックに、他人のゴールは、相手の納得と成長を考慮して、設定すると良いと思います。