さびれた温泉街の集客の天才おじさん

前置きが長くなりましたが、さびれた温泉街の越後湯沢で発見した集客の天才おじさんの話をします。

ここ最近、家族と一緒にスノーボードに行っています。今年は越後湯沢にしました。私は物を保有するのが嫌いなので、

  • スノボードのウェア
  • スノーボード
  • グローブ
  • ブーツ

など、全部、現地でレンタルします。手ぶらでスノーボードにいきます。

遊びの時は計画性がないので、とりあえず行ってみてそこから色々と考えます。

越後湯沢にはいくつかスキー場があるのですが、到着してからスマホで「さて、どこにするか?」と検索をはじめました。

検索して、大きめのスキー場を発見したので、そこに行こうと思って今度は行き方を検索します。バスが出ている事がわかったのでバス停を探しました。そしてバス停の時刻表を見ました。すると、つい5分前に発車したらしく、次の便が約1時間後でした。

「まじか、1時間も待つのか。。。」と落胆しました。朝早いので、カフェなどもありません。(とうか越後湯沢は田舎なのでカフェという概念自体がありません)

「どうしよっか?」と思っていたら、くわえタバコをしたガラの悪いおじさんが近づいてきました。「お、ケンカになるか?」と身構えていたのですが、そのおじさんは「バスは1時間後だよ」と言ってきました。

「そんな事は知ってるよ!イライラするから思い出させるなよ!」と『ガツン』と言ってやりました(心の中で)。おじさんは、続けて、

「もしかしてスノボ?だったらうちでレンタルしてくれたら送迎も無料でするよ」

と言ってきました。

「タバコを吸ったガラの悪いおじさんにカネを払う」

VS

「1時間ボケーっと待つ」

...

「おじさんWin」でした。よろしくお願いしますと伝えて、そのおじさんの車に乗り込み店舗にいきました。

子供がいるにも関わらず、おじさんは車でプカプカタバコを吸っています。しかも店舗といってもほったて小屋で入ると孫がゲームをやっています。もはや商売とは言えない最悪の環境です。「やっちまったかな?」と思っていたのですが、私達以外にも他に4組のお客がいます。恐らく同じ方法で誘拐されたのだと思います。

更に...おじさんは、そこから凄く親切で待っている間、名物の笹団子を出してくれて、ウェアなども格好良くてピッタリサイズを探してくれました。そしてノンストレスで20分くらい先のスキー場まで連れて行ってくれました。

「帰りは何時?迎えに行きますよ」と言われたので「夕方の5時」と伝えました。そのまま数時間スノボを楽しんだのですが...2時くらいに雨が降ってきました。迎えがくる夕方の5時まで3時間もあります。

「うわ~」と思っていたら、携帯電話がなりました。例のおじさんからです。ウェアを借りる時に携帯番号を書いていたのでかけてくれたのですが

「雨降ってきたけど続けますか?もし今日はあがるのなら今から迎えに行きますよ」と、「なんというホスピタリティ!」と感動しました。雨が酷いので、迎えに来てもらいそのままあがりました。

ウェアを返して宿泊の予定だったので「ありがとうございました」と伝えて、店舗を出ようと思ったのですが外は雨がザーザーです。旅館は近かったのですが歩いて3分くらいはかかります。

そこで「明日返しに来るので傘を貸してもらえませんか?」と言ったら、おじさんは笑顔で「いーよ、何本でも持っていきなよ。なんなら旅館まで送っていくよ」と言ってくれました。さすがに近かったので家族の分と2つ傘を借りて旅館に行きました。

帰り際、「ここらへんで御飯食べるなら、そこの◯◯の魚が美味しいよ」と教えてくれました。正直、レンタルウェアは古いタイプでブーツが足にあわなくて、家族と「明日は違う所で借りよう」と話していました。

しかし旅館にはいり家族が「あのおじさん良い人だね。明日もあそこで借りようよ」と言いました。心理学で言う返報性のルールですが、私も賛成し、翌時もそのおじさんのお店を利用しました。翌日も最後まで親切で、帰りの新幹線で「越後湯沢にいったらまたあそこに行こうね」と家族と話しました。

さて、この話の教訓です。前回のメールで最高のお客様は、

  1. 緊急性の高い問題を抱えていて
  2. 解決策を探していて
  3. お金を払う意思も準備もあって
  4. かつ、リピーター、信者に成ってくれる人

とお伝えしましたが、

  1. 緊急性の高い問題を抱えていて
    →バスが来なくて困っている
  2. 解決策を探していて
    →バス停の前で困った顔をしてウロウロしている
  3. お金を払う意思も準備もあって
    →スキー場行きのバス停の前で板もウェアもなく手ぶらの状態と、私達家族は最高の見込み客でした。そして、
  4. かつ、リピーター、信者に成ってくれる人

ですが、安い笹団子、どこかで拾ってきた傘、機転を利かせたお迎えの三種の神器で、私たちはそのおじさんの熱狂的なファンになり、リピートしました。

恐らく、そのおじさんはマーケティングの本なんて一度も読んだことが無いと思います。むしろ、マーケティングという言葉の意味すら知らないと思います。しかし、『集客の極意』は知っていますし、実践しています。

さて、あなたはさびれた温泉街のおじさんのように「どこに緊急性の高い問題を抱えた見込み客がいるか?」知っていますか?

「何をすれば返報性のルールが働きリピーターやファンになるか?」知っていますか?「金になる見込み客がどんな行動をとり、どんな場所に溜まっているか知っていますか?」

戦術好きな人は、

  • 流行のフェイスブック広告
  • 信頼のPPC広告
  • 反応率の高いFAXやチラシ

などを追いかけていますが、そもそも「本物の見込み客がどこにいるのか?」を知らなければ、最高のノウハウやテンプレートは力を発揮できません。

マーケティングの本を読んだことがない、さびれた温泉街のおじさんがやれるのに、私達、ビジネスマンができないのは問題があります。

もう一度言います。

  1. 緊急性の高い問題を抱えていて
  2. 解決策を探していて
  3. お金を払う意思も準備もあって
  4. かつ、リピーター、信者に成ってくれる人

これが最高の見込み客です。

リソース不足の私たちは、ここ『だけ』に集中しないといけません。今、あなたは集客をしていると思いますが「さびれた温泉街のおじさん vs あなた」どちらがマーケティング力は上でしょうか?

もし負けているようなら、もう一度原点に戻って、

  • 集客とは何か?
  • 本物の見込み客とはどんな人なのか?

考えてみて下さい。

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