悪い裏金に学ぶ経営哲学

今回は『悪い裏金に学ぶ経営哲学』についてお話します。

フィリピンのタクシーの運転手は頭が良く?旅行者に必ずこの質問をしてきます。

  • 「フィリピンは何回目?」
  • 「今日で滞在何日目?」

彼らはこの質問で、「コイツはフィリピン初心者かどうか?」を見極めているのです。何回も来ていたり、滞在が長ければ「この距離だと大体○円くらい」と解ります。つまりぼったくる事ができません。しかし初めて来た人だと解らないので料金をふっかけてきます。

またフィリピンのタクシーは未だにオートロックでない車が多いので、乗り込んだら自分でロックを閉めないといけません。開けっ放しにしておくと信号待ちなどで妙な奴が勝手にドアを開けてきたり、物売りが妙な液体を売りつけてきます。

タクシーの運転手は、客がロックをかけるかどうかをバックミラーでチェックをしています。つまり、

  • ロックを自分でかける奴=フィリピン慣れしている

と認識しているのです。こうやってフィリピン初心者か確かめ、

  • 「コイツはぼったくれるか?」
  • 「コイツは慣れているので無理か?」

を判断しているのです。

フィリピンは空港の職員も信用できません。

日本だと信じられないかもしれませんが、空港の荷物検査の職員が「裏金をよこせ」と言ってくるのです。これは旅行慣れしていない人にとっては、かなりの恐怖だと思います。荷物検査をしている時に「これは何だ?」と荷物について聞いてきたら『裏金要求』のスタートです。どのような荷物であっても、彼らは難癖をつけてから「ポリス(警察)」を連呼し始めます。危ない物で無ければポリスがきても問題ないと思いますが、飛行機の時間もギリギリになる程しつこいので、かなりイライラするでしょう。

ここで、一歩引いてみると、なかなか面白いことに気づけます。

だいたい難癖をつけて騒ぎ立てるのは1人か2人で、他の検査官は静観しているのです。私の知り合いのパターンでは、凄い剣幕で「ポリス」を連呼する検査官の後ろで、もう1人いた検査官がウィンクをしてきたそうです。

1人の検査官は凄い剣幕で「ポリス」もう1人は笑顔でウィンク。

知り合いは「なるほど」と思ったそうです。そう、彼らは裏金が欲しくてイチャモンをつけているのです。何度も言いますが彼らは空港の職員です。空港に危ない物を持ち運ばせないように監視する役目を持っています。そんな聖職者が堂々と裏金を求めます。さすがフィリピンです。

結局、知り合いは「これも旅の醍醐味」だと思い、裏金を渡したそうです。

これは怖い事で逆に考えれば、金さえ渡せば薬物や大金などが簡単に持ち運べてしまうという事でもあります。実際に裏金を渡す人間がいるので汚職がなくなりませんし良い事ではないのですが、私はフィリピンでこういう体験の話を聞く度に「ホッ」とします。

なぜか?

チャンスが多い事を意味しているからです。

恐らく何十年も前の日本もこんな感じだったのだと思いますが、だからこそチャンスが多いのです。誰も目を向けていないからチャンスなのです。

今、多くの人が香港やシンガポールなどに移住したり投資したりしています。投資や経済に詳しくない人でもこれらの国が景気がよくチャンスなのだとなんとなく認識しています。

ビジネスも投資もすべて同じですが、多くの人が「チャンス」だと言い出したら既に「手遅れ」です。逆に多くの人が「危ない」と言っていたり無視している事こそが本物のチャンスなのです。

その他大勢の真逆を行く

このマインドセットはとても大切です。大勢が東に向かったら西に向かわないといけないのです。

有名な逸話があります。

ケネディ大統領のお父さんは投資で大きな資産を築いた人物なのですが、彼は『その他大勢の真逆を行く』で財を成しました。

アメリカが好景気で株が高騰していた時期、ケネディのお父さんはNYで靴を磨いてもらっていました。その時、靴磨き屋さんがこんな事を言いました。

「これから株価がもっと上がりますよ。私もこれで一儲けするつもりなんです。旦那も一口のりませんか?」

ケネディのお父さんはその話を聞いて株を空売り(からうり)しました。空売りとは、簡単に言えば株価が下がれば儲る投資の方法です。ようは世の中の人は「上がる」と騒いでいるときに、彼だけは「下がる」と思ったのです。

そして…彼の思惑通り株は大暴落し、他の投資家達が破産しているのを尻目に彼だけは大儲けしました。

なぜ彼が株を「下がる」と予想し空売りしたのかというと、

「投資に縁もゆかりもない靴磨き屋までもが上がると言い出したという事は、これからは下がるに決まっている」

と考えたそうです。

『その他大勢の真逆を行く』

です。

フィリピンにはスリも多いのですが、これは治安の悪い田舎ではなくマニラという首都での話です。観光客もたくさん訪れる場所ですら、まだまだこんな治安状況なのです。

一度でもこういう体験をしてしまうと多くの人は「フィリピンは危険」と思います。

  • 「怖くて行きたくない」
  • 「まだまだ発展途上国」

だと感じてしまいます。

シンガポールやマレーシアや香港に目を付けている人はたくさんいますが、「フィリピンがおいしい」という人は見かけた事がありません。だからこそチャンスが多いと思いのです。

『その他大勢の真逆を行く』

このマインドセットを持っている人だけがチャンスを逃さず、その他大勢の人を尻目に一発逆転できるのです。

  • 大勢が右に向かったら左へ。
  • 東へ行ったら西へ。
  • 「中国が良い」と言ったら注意する。
  • 「中国が危ない」と言ったら興味を持つ。

常に一般大衆の逆を考える癖を付けてみて下さい。

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