付加価値⑩エクスペリエンス(体験型)

「私は悪くない!」と思ったことはありますか?

何かトラブルが起こった時に「私は悪くない!◯◯さんがのせいだ!」と他人のせいにした事はありますか?

私たちは「自分は正しい」と『思い込む』性質があります。なぜなら「全部、自分が悪い」と思っていたら身体がもたないからです。病気になってしまいます。

周りでうつ病になっている人を見ても、

  • 責任感が強い
  • でも不器用で抜きどころを知らない
  • 完璧主義

この3つが揃っている人が多いです。

全ては自分の責任』というマインドセットは大事で、私も大事にはしているのですが、やはり人間ですので、どこかで「他人のせい」にしたくなります。

私達の身体は優秀で、病気にならないために「自分は正しい」と思い込める能力があります。言い訳、正当化、負け惜しみなど、生存するために必要なスキルを生まれながらにして持っています。

言い訳、正当化を専門的に言えば『認知的不協和(にんちてきふきょうわ)』という心理学用語になります。

イソップ童話のキツネと酸っぱいブドウの話が有名なのですが、キツネがブドウを取ろうとしてジャンプしても取れなかった。そして最後に負け惜しみで「あのブドウは酸っぱいに決まっている取れなくてラッキー」という捨て台詞を残す物語です。

この物語の教訓は「人は自分の”行動”を正当化する”思考”を持つ」ことを意味しています。これはかなり重要な心理です。イソップ童話を逆に考えると理解しやすいかもしれません。

このキツネさんがもしブドウをゲットしていたら...どうなったと思いますか?仮にこのブドウが酸っぱくても「あ~甘くて美味しいな」と言ったり「やっぱりブドウは酸っぱいくらいの方が美味しいや」という思考や発言をとります。

「自分のとった行動は正しい」と思い込む能力が私たちにはあります。よく稼げない人を見ていると

  • 準備を完璧にしてから
  • まずマインドを学んでから

というマインド先行型の人が多いのですが、逆に成功が早い人を見ると、

  • やらないと分からないから、まずスタートしてみる

という行動先行型の人が多いように感じます。

マインド vs 行動」どちらが大事なのか?といえば、どちらも大事なのですが、個人的には『行動』の方が大事だと思っています。なぜなら、私たちは認知的不協和で「自分のとった”行動”を正しいと思い込む」からです。

つまり、私たちは無理にでも「自分のとった行動は正しい」と思い込みます。

これは他人から見たら苦し紛れの言い訳、負け惜しみ、正当化などと、ネガティブな評価をされることが多いのですが、生きるための能力なので仕方がないです。「自分のとった行動は正しい」という思考を持つということは、

行動>思考

という方程式が成立します。私たちは自分のとった行動を間違っていたとは思い込みたくないのです。

この心理学を逆手にとった付加価値が10番目の「エクスペリエンス(体験型)」です。

この付加価値をわかりやすく説明するのに、今年のお正月の話を例にだします。

お正月に、おみくじを引く人は多いと思います。私は大吉しか興味が無いので大吉がでるまで引きます。本来のおみくじのやり方とは意味が違うかもしれませんが、小吉とか中吉とかは嫌いなので大吉がでるまで引き続けます。

一番多いときは、広島の厳島神社で5200円使いました(つまり52回引いた)それを見ていた欧米人が真似をしてずっと引いていました。。。間違った日本の文化を教えてしまいました。

それは、ともかくおみくじですが、最近では小さい神社ではおみくじを引いている人が少なくなりました。しかし、今年はビックリしました。行列のできるおみくじを見てしまいました。

トリックは簡単です。「釣りおみくじ」です。要は、普通のおみくじと違い、

  1. 鯛の形をしたおみくじ
  2. 先っぽに輪っかがついてる
  3. 横に小さな釣り竿がある

というスタイルで、自分で好きな鯛のおみくじを釣るシステムになっていました。お祭りのヨーヨー釣りのようなものです。

当然、子ども達に大人気です。1回500円もするのに...子供にせがまれると親は断れません。

1人の子供がやっているのを見てどんどん行列ができる。真新しい事は何もありません。ただ「おみくじ」に「釣り」という『体験型』を掛け合わせただけです。それだけで5倍の単価をとり、かつ行列まで作っているのです。これが付加価値『エクスペリエンス(体験型)』の威力です。

私は物を持たない主義で、基本的にはすぐに何でも捨てるか人にあげてしまいます。しかし、どうしても捨てられないものがいくつかあります。

やはり『自分で作ったもの』です。沖縄で作った琉球グラスや手作りシーサーはどうしても捨てられません。(重いので実家に預けてありますが。。)

しかし同じモノでもお土産で、他人が作った琉球グラスやシーサーも買ったことがあるのですが、それは速攻でゴミ箱行きです。どう考えても他人が作ったものの方がクオリティは高いのですが。。。面白いものです。

この心理や付加価値をどう活かすのか言えば、「お客様と一緒に何かをやる体験型」を提供することです。

ユニクロの服は基本的にはどこにでもありそうなものです。しかし、組み合わせによっては格好良くもなります。そこでお客様が自分でコーティネートした組み合わせを、写真でとって投稿してもらっています。

これによって、

  • 投稿した人は掲載されて更にユニクロのファンになり
  • 見ている人も参考になる

という売上げアップに繋がっています。お客様との共同作業による体験型です。

USJの人気アトラクション ハリーポッターには、映画で出て来る魔法の杖を買う場所があります。杖を買ったら、数カ所魔法を唱える場所があり、そこで杖を持って魔法を唱えると吹雪が起こったりして楽しめます。これも、ただ「杖を売る」というお土産ビジネスに『体験』を加えています。

観光地に行けば「◯◯手作り体験」は必ずありますし、レストランの「バイキング(取り放題)」も1つの体験型と言えます。

物によっては人件費の削減にも繋がります。考え方ですが『お金をもらいながら手伝わせる』とも言えるのが、この体験型のメリットです。

ちなみに人間の興味タイプには、5種類あると言われています。

  1. 『人』に興味があるタイプ
  2. 『モノ』に興味があるタイプ
  3. 『情報』に興味があるタイプ
  4. 『アクティビティ』に興味があるタイプ
  5. 『場所』に興味があるタイプ

旅行に行くと、この興味タイプは顕著に現れるのですが、(逆に一緒に行く人のタイプを知らないとケンカになるのですが)例えば、

  • 『人』に興味がある人は、どこに行くかよりも誰と行くかを重要視します。
  • 『モノ』タイプは、ショッピングなどに走ります。
  • 『情報』タイプは、歴史とか次の旅行に備えてのデータ集めに奔走します。
  • 『アクティビティ』タイプは、すぐにジェットコースターやスカイダイビングなどをやります。
  • 『場所』タイプは、1つの場所に長く滞在して建物の写真などをバンバンとります。

私は『人』と『アクティビティ』ですので、場所タイプの人と旅行をすると「早くジェットコースターに乗ろうよ~」となってしまいますが、人によって興味は異なるので仕方がないです。

この5つの興味タイプの中でも『アクティビティ』が強い人には、この体験型の付加価値は効きます。

友人のソバ屋さんは、年末になると「そば打ち体験教室」をやっていますが、そっちのほうが利益が高いと言っていました。お寿司屋さんで、これも年末限定で「寿司握り体験」を教えている人がいるのですが、いつも満員になると言っていました。

そして面白いのは、一度体験すると、メインの寿司屋や蕎麦屋のヘビーユーザーになってくれる人が多いそうです。

  1. まずお手軽な体験をさせる
  2. 人は体験すると好きになる
  3. ヘビーユーザーになる

という流れです。

高齢化が進んでいますすので、趣味に時間を投資する人が増えてきています。あなたのビジネスに『体験』を追加できるものはありませんでしょうか?

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