企業理念=大勢の人を動かすエネルギー

今回は「大勢の人を動かすエネルギー」についてお話しします。

突然ですが、「100億円差し上げます。その代わり...永遠に無人島に1人で住んで下さい。」と言われたら、どう感じますか?無人島で100億の現金を眺め続けても、死にたくなるだけです。

「オレは一人で成功した」という起業家を稀に見かけますが、恐らく近いうちに消えていくと思います。1人で成功できるわけがなく、そもそも1人では楽しくありません。

私たちは赤ちゃんとして生まれて、親や周りの人に育ててもらい大きくなります。学生時代や社会人を過ごし、経営者になってもたくさんの人たちに助けられています。

ビジネスの世界では「株主が一番偉い」と言われます。「会社は誰のものか?」という問いにも「会社は株主のもの」になります。

『法的』にはその通りです。大株主が「お前はクビ」と言えば、どんな優秀な社長でも即リストラです。

しかし、現実はそんなに簡単ではありません。個人的な考えですが、「会社は誰のものか?」と言えば「ステークホルダー全員のもの」だと思っています。

ステークホルダーとは、利害関係者の事です。株主、経営者、幹部、社員、債権者、仕入先、取引先、などは当たり前ですが

  • 行政
  • お客様
  • 社員の家族
  • 社会そのもの

もステークホルダーです。

会社はステークホルダー全員のものでなければいけないと思っています。綺麗ごとではなく、結局こういう考えを持っていた方が
儲かりますし、人もついてきます。

今回伝えたいメッセージは、「私たちは多くの人に助けられて生きている」という当たり前のことですが、この『多くの人』という言葉がポイントです。

1つの会社が経営されるのに、そして1円の利益を出すのに、私たちは想像以上の人達と関わっています。1本のペットボトルのジュースを作るのに何十社も、何百人も、必要になります。

1人では1円を稼ぐのも不可能です。会社もたくさんの人が関わっています。想像してみてください。

  1. 関係者全員が同じ方向を向いている
  2. 関係者全員がバラバラの方向を向いている

この2つでは、どれだけパワーが変わると思いますか?

全員のベクトルが一致していたら、その会社は強いですし、結果的に利益は増えます。しかし、たいていの場合は『利益相反(りえきそうはん)』が起こりますので、みんなバラバラに動きます。

わかりやすい例で言えば…

  1. 新入社員が斬新なアイデアを持って来た
  2. けど上司である課長は「残業が増えそうだから」という理由で却下

というのは、当たり前にあることです。みんな『自分の得や利益』を一番に考えます。社長の仕事は、この『利益相反を一致させる』ことです。

ちなみに、『バカ社長』と『優秀な社長』の違いを知っていますか?

たくさんあるのですが、その1つに「企業理念」を持っているかどうかあります。「ミッションステートメント」とも言いますが、企業理念こそが『大勢の自己中な人たちを1つにまとめる最強の武器』になります。

「企業理念」と聞くと「大会社のことでしょ?」「一人でやっているから関係ないです」と思うかもしれませんが、そんな事ありません。

何度も言いますが、私たちはたくさんのステークホルダーに囲まれてビジネスをやっています。1人社長であってもお客様がいて
取引先がいて色々な人と絡んでいます。

2人以上のステークホルダーがいる限り、企業理念は必須になります。必須というか、これがないとパワーが分散してしまいますし、偶然うまくいってもどこかで頭打ちになります。

企業理念とは、「会社のコンパス」です。「会社がどこに向かっているのか?」をわかりやすく言葉にしたものです。

極論を言えば、あなたの会社の理念が「私が億万長者になる!」だったとしたら

  • お客様も
  • 取引先も
  • 社員さんも

絶対についてきません。

「会社の年商を10億円にする!」でしたら、まだ少しはマシですが、取引先やお客様には見せられたものではありません。お客様からしてみたら「お前からお金を巻き上げるぞ」にしか見えません。

優秀な企業を見てください。みんな『人の心を動かす』企業理念を持っています。

例えば…

マイクロソフト:「すべてのデスクと家庭にコンピューターを」

これを1975年、今から30年以上も前にビジョンとして掲げていました。1975年と言えば昭和50年。パソコンなんて軍事用がメインだった時代です。しかし彼らはこのビジョンを達成しました。

「すべてのデスクと家庭にコンピューターを」

夢がありますし、何よりも「どこに向かえば良いのか?」が、ステークホルダー全員がわかります。社員も株主も迷子にならなかったと思います。

たとえ社員が残業しても、家族は「そんな素晴らしい会社なら頑張って仕事して」と応援してくれていたかもしれません。恐らく取引先も「そんな素晴らしい未来のためならちょっと無理しても協力したい!」と思う所が多かったと思います。

グーグルの「世界中の情報を整理し世界中の人々がアクセスできて使えるようにする」も、現実となっています。

企業理念とは、大勢の人を巻き込むエネルギーそのものです。企業理念は、言い方をかえると「能力の高い人間を言葉1つでタダ働きさせる」恐ろしいスキルとも言えるでしょう。

しかし多くの企業は、

  1. そもそも企業理念を作らない
  2. 作っても社長室の額に飾って終わる
  3. 作り方を間違えている

のどれかです。

しかし正しい企業理念を作れば、それはステークホルダー全員を同じ方向を向かせベクトルを合わせられる強烈な武器になります。

実際…企業理念の「ある」会社は、「ない」会社の約3倍の利益を出しているというデータもあります。

早い話、「企業理念を作りましょう」ということです。ただし、作り方があります。作り方を間違えると逆にマイナスになることもあります。「私が億万長者になる!」これでは、企業理念では誰もついてきません。(ですが実際はこういう会社が多いです)

今日は、『企業理念=大勢の人を動かすエネルギー』を覚えておいてください。ちょっと長くなったので『企業理念の正しい作り方』は次回お話したいと思います。

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